続・そすいのさんぽみち

~2015年4月1日 1件 追加投稿しました。累計510件~
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A-02-18「びわ湖の森の生き物・第4回シンポジウム」に参加

         琵琶湖疏水の散歩道・第489話(2012-05-29) KANKANBOW

 

(1)まえがき

 私は「びわ湖の森生き物研究会」の活動内容に興味があったのでときどきネットを開いてきたが、その活動内容に地域独自性が強く開催場所も遠いことで、県外からの参加には難しい存在であった。しかし、主催のサンライズ出版からの発行図書は図書館でよく読ませていただき、私の少ない蔵書の中でも増えてきた。

 今回初めてシンポジウムに参加したのは、一度研究会の活動状況に触れてみたいことであったが、議題の中に「シカの問題」が入っていたことも理由の一つであった。

 今回の議題は当然ながら「カワウとの共生」が中心で、問題点の総括的な把握ができたが、ここでは、いただいた滋賀の出版文化情報誌「Duet」106号の特集「シカ肉を食べる」の考察を含めてその要旨を報告する。

 

(2)シンポジウムの要旨

 今回開催された第4回シンポジウムは、527日、JR近江八幡駅近くのアクティ近江八幡で開催された。講演と話題提供の議題を示すと、

講演:「森によって異なるカワウと人とのさまざまな共生」亀田佳代子  (研究会員)

話題:「人の関与と野生生物」                      高橋春成    (研究会員)

      「ヒトからの人圧による野生動物との共生」      寺本憲之    (研究会員)

      「シカの食害がもたらす生物多様性の破壊」     青木繁      (研究会員)

      「伊崎半島(伊崎国有林)におけるカワウ被害と森林管理」倉吉博(林野庁職員)

                        A-02-18_convert_20120610005328.jpg   

 今回は、例年出席の嘉田知事からのメッセージが代読され、パネルディスカッションのあと「提言」をまとめて3時間の会合を終えた。

(3)カワウの話題

 「カワウ」は海に潜って魚を捕食し、海岸や島の崖に巣を作ってヒナを育てるが、日本の「カワウ」は、主に湖や河川などの内陸部に生息し、水辺の森林の樹上に巣を作る特徴がある。私がお世話になった会社では海鳥の糞が堆積してできたリン鉱石を輸入して肥料を製造していた時期があったが、日本でもカワウの糞を採取して肥料にした時期があった。

 琵琶湖には2ヶ所の集団繁殖地があるが、そのひとつが竹生島で、「カワウ」には木を枯らし悪臭を発する害を発する悪いイメージしかなく、「カワウ」を減らす策が新聞を賑わせてきた。もうひとつの繁殖地・伊崎半島は、お寺の所有地を除いてほぼ全域が国有林であり、「カワウ」の被害が顕著になってきたので、平成162004)年にワーキンググループを作り、一定の区域にある程度の数のカワウが生息できるようにして、調査を継続実施している。また、針葉樹と広葉樹の混じった被害に強い森づくりに取り組んでいる。面白い試みとして、カワウは人が近づくのを嫌って巣を作らない報告があるので、国有林内の境界線にハイキングコースを設けて「カワウの被害から守る森」、「カワウ被害植生回復の森」、「カワウが生活できる森」に区分して共生を図っている。

 今回の亀田さんの講演で、日本の在来種であるカワウと共生するには、「マイナスの共生」を少しでも「プラスの共生」へと転換する手立てを模索し続けることが必要とのまとめが理解できた。

 

(4)人と陸上野生動物との共生問題

 高橋さんや寺本さんの講演で、シカ、サル、イノシシなどの野生動物とヒトとは昔から森内でお互いに支え合う関係が保たれてきたが、1960年代以降の日本の経済成長期にヒトの生活様式が変化して両者の境界のバランスがくずれて、被害の発生が目立つようになったということを改めて整理し理解することができた。そして問題解決のためには、森の動植物の生物多様性の均衡をベースにヒトがもっと森を積極的に活用管理し、健康な森に再構築する立場から野生動物に人圧をかけていく必要のあることを実感させていただいた。

 今回はイノシシとシカを例にして細部説明していただき、興味ある報告であった。

 

(5)「シカ肉を食べる」の特集冊子を入手

 51日に訪問した伏見区の森林総合研究所・関西研究所で特集「シカと上手くつきあう」と題した冊子(季刊・森林総研15号・201111-30発行)をいただき、③「衛生的なシカ肉は美味しい資源」と題した記事を読んで、問題点の概要を理解した。

    シカのたくさんいる場所はどこか?(九州支所主任研究員・近藤洋史)

    シカを管理する(九州支所主任研究員・八代田千鶴)

    衛生的なシカ肉は美味しい資源(北海道支所研究員・松浦友紀子)

    の記事の中で、北海道のエゾシカは年間10万頭捕獲されているが、流通しているの

はわずか1万頭であると記載されており、その理由について充分に把握できなかった。今回入手した資料の中に滋賀県職員の松井賢一さんの「野生のシカ肉を撃っても売れへんのや」という記事を見付けた。シカ肉は臭くて食用にするためには、肉の中の血を早く抜く必要があり、心臓が動いている間に血を全部抜かないと早い時期に臭みが発生する。食用にするためには、撃ったあと急いでシカのところに行って、心臓近くの動脈を一気に切って放血する必要があり、これを「止め刺し」という。数匹まとめて「止め刺し」できないので、仕留めてから出荷するまでの許容時間が少ない。表現を変えると、目の前にイノシシ1頭、シカが10頭いた場合でも猟師はイノシシを狙うに決まっている。また、体重75kgのシカで、ロースが3.5㎏、モモが12kgであとは全部廃棄となる。したがって、店頭価額も高級黒豚に相当する。調理法もブタやウシの感覚で火を通すと硬くなってしまう。フランスではシカ肉料理が定着しているが、日本ではまだ一般化していない。捕獲してから店頭販売までの流れと料理法の普及指導の流れについてまだ合理化の余地が残されていると感じた。

 


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