続・そすいのさんぽみち

~2015年4月1日 1件 追加投稿しました。累計510件~
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B-08-13 車石・車道関連調査―1(花崗岩の物性面からの考察)

       琵琶湖疏水の散歩道・第480話(2012-03-21) KANKAMBOW

 

1)まえがき

大津歴史博物館において、企画展「くるま石―江戸時代街道整備」が開催(33日~4月15日)されている。主催組織の一つである「車石・車道研究会」に参加している関係で、スタート時に見学者のボランティアガイドを務めたが、見学者の興味は車石の溝が自然発生したという説明に集中した。

 単純に考えて、花崗岩という石の上を木製の車輪が通過した場合、石が擦り減る前に摩耗に弱そうな木製車輪が擦り減ってしまうのではないかという疑問である。会場に各地で産出される花崗岩の見本と産地マップが展示されているので、数人の見学者から質問されたが納得させるだけの説明ができなかった。そこで、花崗岩の方にも物性面から弱点があるのではないかと思って検討したのが本報である。専門外の考察なので自信はないが、間違った記述や問題点があれば教えてほしい。

 

2)花崗岩の物性

 花崗岩とは火成岩の一種であり、主要構成鉱物は、石英・アルカリ長石・斜長石・黒雲母・白雲母・角閃石などであり、数mmの結晶が寄り集まる粗い粒子構造を持った鉱石である。ウイキペディア資料が示す代表的化学組成は、シリカ76.83%、アルミナ12.47%で地球上に存在する代表的な岩石である。天然石材として御影石とも呼ばれ、緻密で堅く、耐摩耗性・耐久性面からも優れており、石の鳥居、城の石垣、石橋に用いられ、近代の建築物の例として国会議事堂の外装はすべて国産花崗岩でできている。また京都では鴨川に架かる橋桁の石柱や琵琶湖疏水の構造材や市内電車の敷石として広く使用され、車石用の石材として使用された。

 欠点は耐熱性で、500℃を超えると急激に強度が下がり、割れ目が発生することであるが実用面での問題はなく、最近では地域環境面や生産コスト面から大部分が輸入品として大量に使用されている。もう一つ気になる事項として風化性の問題がある。琵琶湖疏水の鴨東運河に堆積する白川砂は、背景の大文字山系の花崗岩が風化して生成されている。

その原因として、構成する各種鉱石の熱膨張率が異なるため、温度差の大きいところでは粒子間の結合が弱まり、表面がバラバラに崩れ易くなる。花崗岩の主要成分である石英(砂)は非常に風化され難く、白砂として河川に運ばれる。瀬戸内海の白砂青松や山陰の砂丘も中国山地の花崗岩が元になっている。

したがって、通常の気象条件での使用であれば、建材として使用にまったく問題はないが、車石のような過酷な使用条件のときに部分的な風化類似の現象が発生し、石の溝が出来易くなったと考えることができないか?・・・について考察してみた。

                B-08-13-1

3)花崗岩の細部情報

 花崗岩に関する検索または入手関連情報を順序不同に列記すると、

    花崗岩に含まれるアルカリ属成分(ナトリウム、カリウム、リチウムなど)やアルカリ土類属成分(カルシウム、マグネシウムなど)はケイ酸塩の形で存在し、風化(加水分解性など)を受けやすい成分を含むと推定される。

たとえば、花崗岩の構成成分の一つである「雲母」はカリウムを主成分とするケイ酸塩鉱物であり、斜長石はナトリウムとカルシウムを主成分とする長石類の総称である。

    花崗岩を分析すると、その組成は産出地によって微妙に変化する。外見上の色彩も白色系・淡桃色系・淡緑色系・黒色系と変化し、黒雲母の斑点模様にも地域的特徴がある。

少量の鉄分を含むため、酸化すると錆(酸化鉄)を発生する。

    地球地殻の元素の存在比は、多い順から酸素が約50%、ケイ素が約25%、カルシウムが約3.4%、ナトリウムが約2.63%、カリウムが約2.4%、マグネシウムが約1.9%であり、花崗岩の主要成分の多い順とほぼ一致する。

    太陽系の地球以外の岩石天体に花崗岩は見出されていない。花崗岩の形成に水の関与が必要で、海の存在する地球でのみ大量に作られてきたと推定されている。

    石材は硬いほど長持ちするが、加工技術が未発達の頃は硬い花崗岩のような硬い岩石は利用されず、大理石・砂岩・蛇紋岩などの柔らかい岩石の利用が普及していた。

    花崗岩はマグマがゆっくり固まってできた火成岩で、マグマが地殻に入り込もことを「貫入」といい、貫入によって周囲の岩石が熱によって変成を受ける。

    日本の花崗岩は、塊状で産出され埋蔵量も少なく、品質にもムラが多く、環境保護のため生産制限があるので、現在は輸入品が主体となっている。石材業者のカタログには世界各地の輸入花崗岩がリストされているが、量的には中国品が主力のようである。

 

4)車石の使用条件

 東海道の大津札の辻から京都三条大橋までの距離は3里(約12km)で、米俵9表(60

kg×9=540kg)を積んだ約300kgの牛車(合計約840kg)が年間約2万輌通過して、摩耗により車石に溝ができたと研究会で想定している。

 石材の摩耗度の測定には、圧縮強度・曲げ強度・引っ張り強度・せん断強度、弾性係数、吸水率、耐熱度、熱伝動率などの値を綜合して判断されるが、自然環境に近い条件での使用を前提として測定される。この場合、各種岩石(花崗岩、安山岩、凝灰岩、砂岩、大理石など)の中で花崗岩は石材として最良の岩石と評定されている。

 

最近では鉄道の高速化が進み、軌道(レール)と車輪との摩擦現象に関する研究報告も増えてきたが、車石に関する研究も進んできたので、溝の発生についても減耗速度面からの数値的な裏付けが欲しい。急ぐ必要はないが、研究助成金による研究機関の協力を考え

                  B-08-13-2

てもよい時期にきたと考える。研究機関も、技術系よりは地域の歴史に興味を持つ大学を選び、耐摩耗性の測定実務は試験受託機関を利用する方法がよい。

たとえば、資材の耐摩耗性試験を受託する機関として、「エイキットKK評価試験事業部」があり、耐摩耗試験として①すべり摩耗試験、②静・動摩擦係数、③テーパー摩耗試験

などを挙げている。車石の過酷な使用条件下における物性値を測定し、「使用時に溝が発生」説の理論武装をしてほしいと考える。

 

添付資料:主要岩石の種類と特徴

 

成因別分類

        特   徴

代表的な岩石

火成岩

 

地球内部のマグマ(岸礁)が冷却する過程で凝固したもの。結晶質または半結晶質で塊状をなしている。深成岩・火山岩・半深成岩に分類される。

花崗岩、玄武岩、安山岩、閃緑岩(黒御影)

水成岩

 

岩石が風化浸食されたものや、水に溶解した鉱物質・動植物の遺骸・火山の噴出物などなどが、層をなして積り固まったもので、堆積岩とも呼称される。

凝灰岩(大谷石)、石灰岩、砂岩

変成岩

 

火成岩や水成岩が天然の圧力や熱によって変質したもの

大理石、蛇紋岩、片岩

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

               B-08-13-3(完)

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